映画『秒速5センチメートル』レビュー

感性を高める時間

映画のプロフィール

2007年公開

アニメーション映画

上映時間63分

【監督・脚本・原作】新海誠

アジアパシフィック映画祭〈最優秀アニメ賞〉受賞

あらすじ

主人公の遠野貴樹の成長と恋を追う3部作。

第一部『桜花抄おうかしょう』では、貴樹と明里の出会いから離れ離れになるまでの話。貴樹は栃木に転校してしまった明里に会うために、東京から栃木に向かいます。

第二部の『コスモナウト』の舞台は鹿児島。貴樹は鹿児島県に転校しています。そこで出会った女の子の視点から見る、高校時代の貴樹の話です。

第三部のタイトルは『秒速5センチメートル』。大人になった貴樹と明里の姿が描かれます。

みどころ

・携帯電話やスマホがない時代の、連絡が取れないハラハラ感。

・甘酸っぱいだけじゃない、苦い恋。

・美しい景色のアニメーション。

・主題歌と映像の演出は鳥肌もの。

感想

ストーリーの感想

これ以上ないって恋だったのに、いつのまにか思い出になっていた。大人にとって珍しい経験ではないでしょう。恋は基本、一方的で報われないものです。

けれど恋はいつだって自分の生涯に小さな穴を空けます。ぽっかりと大きく空いてるわけでもなく、人生が左右されているわけでもない。それでも確かに穴は空いている。

この作品は、それをわざわざ拾い上げて、丁寧に磨いてくれた作品だと思いました。

どの話も恋をする側の視点だからか、詩的な表現が多かったです。恋をすると人間はポエマーになりますからね。とても素敵な表現がたくさんありました。

この作品、とにかくラストの演出が最高でした。タイトルがバーンと出て主題歌が流れ始めた時には、息を呑みました。あと歌詞と映像のシンクロが神がかってます。映像の疾走感と音楽の切なさが、無情さと後悔を私の目と耳に叩きつけてくるんです。

あの時の恋が叶っていたなら。この景色をあの人と見れたら幸せだっただろうか。ふとした瞬間に蘇る、かつて自分の胸を締め付けた恋。幸せも不幸も迎えなかった恋は、いつまでも不完全燃焼のまま心のなかに漂うのかもしれません。

青春の甘酸っぱさと、どうしようもない苦さを教えてくれるストーリーでした。私こういうの大好き。

おまけとして私の混乱を聞いてください

高木くんだと思ってたら二部で遠野くんになってた。親が離婚したのかなって思ってたら、遠野貴樹くんだった。(設定とかキャストとか一切見てなかったから混乱しちゃった)

かつて私も恋をした

高校の時に好きな人がいました。別の高校の人で、親友の彼氏の親友でした。彼も私が好きなのだと親友の彼氏から聞きましたが、確信が持てなくて告白には至らず。その親友と彼氏が別れたことにより、私と彼も疎遠になりました。

あのとき勇気を出していたらどうなっていただろうかと思う時があります。いまだに数年に一度夢を見るんです。告白はしてないけれど、お前ら付き合ってんだろって茶化される距離感だった頃の私たちの夢を。

でも私は貴樹のように街で彼の姿を探してはいません。だって絶対にいないと知っているから。彼は今カナダにいます。髪の毛を真っ赤に染めて、ヨットに乗っていました

独身かもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも特に知りたいとは思ってません。私の大好きだった彼は、何年も前に消えているんですから。私の心に針穴くらいの小さな穴を空けて。

実写化への期待

実写化することはニュースかCMで見聞きしましたが、詳しい情報までは調べてません。同じ主題歌が使われてるのは知ってるんですけどね。

願わくば、両想いのハッピーエンドに改変しませんように。このなんとも言えない終わり方を、美しい映像で再現してほしいものです。

もし動画配信サービスで見れるようになったら見るので、それまでネタバレを踏まないように頑張りますね。

こんな人におすすめ

・いま恋をしている若い人

・青春の恋の苦さを味わいたい

・胸キュン恋愛映画に飽きてしまった人

DVD情報

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